わたし達が、「男が産めるのうんこだけ」発言に抗議し続けている理由
先日(2026年3月6日)行なった、「女性の休日マーチ」(フェミブリッジ及び市民連合 主催)に対しての抗議行動に際し配布したチラシの全文を、こちらに掲載します。
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私たちは、2025年3月9日、新宿駅東南口前にて行われたフェミブリッジ・市民連合(註1)主催の街宣集会において、菱山南帆子、石川優実、ババカヲルコの3名によって行われた歌唱パフォーマンスにおける差別を指摘し、それを反省せよと訴えてきた。(註2)
妊娠・出産を経験する個人の自己決定権を蹂躙しながら進められてきた政府の人口政策を批判しつつ、ジェンダー平等の意義を、男性中心主義への激しい怒りと共に歌い上げたこのパフォーマンスは、しかし同時に、「男が産めるのうんこだけ」という、明白な性差別の言葉を含むものであった。特にそれは、男性トランスジェンダーを直接的に侮辱する行為として、看過できない。(註3)
この行為に対し、少なからぬ人々が問題を指摘し、フェミブリッジ・市民連合において内省・自浄の作用がはたらくよう、期待してきたはずだ。しかしこの一年の間、フェミブリッジ・市民連合から本問題について公式に反省が語られることはなく、そればかりか、そもそも同団体は本件について公的に一切の言及を行なっていない。のみならず、パフォーマンスを行った三名の中には、SNSなどを通じ、問題の発言を、男性中心社会の下で向けられる女性嫌悪への反撃であると正当化し、自身の差別に開き直るものまでいるという始末であった。
一方、その間、社会情勢は目まぐるしく変化し、緊迫の度合いを強めた。
差別発言についての責任が果たされることのないままに、フェミブリッジ・市民連合に対する社会的期待は、不釣り合いに高まったと言える。自維・高市政権による脱法的手法のもとでの解散総選挙という暴挙により、野党勢力は壊滅的な減少へと至った。国会において右派がかつてなく議席を伸張させた今、戦後憲法秩序の転覆は、最早時間の問題になろうとしている。
国際情勢も、不透明さを増す一方だ。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は終わりが見えず、イスラエルによるパレスチナへの無差別虐殺行為は、未だ止まることがない。トランプ米政権は、2026年1月にはベネズエラに軍事侵攻し、大統領マドゥロを、妻と共に略取。2月にはイスラエルと共にイランを攻撃し、同国の最高指導者ハメネイを、多数の民間人もろとも殺害した。
そのような中、日本国総理大臣・高市早苗は、2025年末に露呈した台湾「有事」をめぐる自身の失言、そして、それに起因する中国政府との関係悪化を改善する努力をすることもなく、両国間の緊張を徒に高かめ続けている。また、国会承認を得ぬ武器輸出や非核三原則の見直しを目論むとともに、スパイ防止法や国旗損壊罪の新設などを通じて、強権的弾圧体制を構築を急ぐ。日本の戦後秩序・議会制民主主義体制の空洞化は、今や深刻な水域に達していると言っても過言ではあるまい。
こうした状況下において、市民と「立憲野党」の協力によって政治を変革しようと呼びかけてきたフェミブリッジ・市民連合の存在意義は、かつてなく重大なものとなっていると言えよう。
更には、この戦後最悪のファシスト政治家が、同時に史上初の女性総理大臣でもあるという事実が、今般の危機を更に複雑なものにしている。資本主義と家父長制国家体制の要請でしかない「女性の活躍」というマヤカシを暴き立て、真の女性解放とジェンダー平等を実践し、それを以て人々に指し示す役割が、フェミブリッジには求められているはずだ。そのことは、高市政権発足以降、国会周辺で行われるデモに足を運ぶ人々の増加や、人々の熱量の高さを見れば明らかであり、そのこと自身、当のフェミブリッジ・市民連合自身が最もよく知るところのものであろう。
にも拘らず、いや、むしろ、それに乗じてと言うべきか。フェミブリッジ・市民連合は、「男が産めるのうんこだけ」発言の問題を棚上げにしたまま、あわよくば、その黙殺すら企んでいるのではないか。
何より、この差別パフォーマンスの直接的行為者の一人である菱山南帆子自身が、他でもない市民連合の共同代表者なのであり、フェミブリッジを象徴する存在として、名実一致、運動のリーダーと言って差し支えない存在なのだ。要するに、フェミブリッジ・市民連合は、単に集会の主催者としての監督義務が問われているのみならず、披露された差別パフォーマンスの直接の行為者として、その責任が問われていると言ってよいのである。
この、かつてない危機的情勢の中で、然るべき役割を果たすべき社会運動体が、破廉恥にも差別に開き直っていることを、見過ごすことはできない。まもなく3月8日、国際女性デーを迎えようとしている本日。私たちは、改めて、この差別事件の解決を訴える。
フェミブリッジ・市民連合は、「男が産めるのうんこだけ」発言の誤りを認め、トランスジェンダー差別を反省せよ。
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註
註1
「市民連合」: 正式名称、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」。
註2
当会は、2025年3月月31日に、この差別発言に対して抗議のデモンストレーションを実施した。
註3
当会は、この差別発言について、下記の三点の問題を指摘する。第一に、直接に男性トランスジェンダーの尊厳を踏み躙る行為であること。第二に、それは強固なジェンダー二元論を背景に個人を妊娠能力の有無によって支配しようという思想であり、そうした能力を持たない全ての女性を貶め、また、ノンバイナリーの存在を抹消する行為であること。第三に、排泄に困難を抱える人に対する侮蔑であること。詳しくは、下記の記事を参照。
・フェミブリッジにおける「男が産めるのうんこだけ」発言に抗議する
