【読書会】<アナルセックス•パニック> に動ぜぬために
2026年8月。アナルセックス(肛門性交)をめぐって、SNS上で激しい意見の対立が起きました。 「 男性だろうが女性だろうがノンバイナリーだろうが、アナルセックスは安全に楽しんでね! 」( 註1 ) 本文と共に、「 男性のアナルセックス 安心・安全に行うポイント 」と題されたサイト( 註2 )のURLを付して行われたこの投稿は計57万回以上閲覧され(2026年9月3日調べ)、投稿者には夥しい数の批判、誹謗や中傷、脅迫のメッセージまでもが寄せられました。 反対を唱えた人々の多くは、「ジェンダー・クリティカル(GC)」の潮流にあると言ってよい人々です。その後、投稿主であるフェミニズム・クィア研究の学者で、大学教員である ゲンヤ(福永玄弥、@GenyaFukunaga) さんは、一連の事件を振り返って「アナルセックス・パニック」と評しました。 (※ 論争の経緯は、ページ下部に 参考資料 として掲載しています。) 当時の本人の投稿を見れば明らかですが、ゲンヤさんの主張は大変にクリアなものだったと思います。すなわち、性の自己決定と相手方の意思の尊重、性交渉に伴う事故や感染症リスクの認識と低減措置、公衆衛生の保持、性的偏見と差別の排除、包括的性教育の重要性、といったような事柄です。 しかし、一方で寄せられた批判には不当なもの、的外れなもの、そもそもまったく話が噛み合っていないものなどが、多数見受けられました。 一体、「アナルセックスは安全に楽しんでね!」という投稿の、何が問題とされたのでしょうか? 「GC」による反対言説の真意は、どこにあるのでしょうか? 本ワーク・ショップでは、この事件における「GC」の潮流を代表するテクストとして、「 『安全に楽しめ』は、誰の安全か 」( 郡司真子 )を取り上げます。( 註3 ) 著者の郡司真子さんは、自身も性暴力サバイバーとして、性暴力の被害にあった人々の支援や権利擁護の運動を行う一方で( 註4 )、所属団体を率いて「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」に加わり、「女性スペース」や女子スポーツに関する法律制定に向けた運動を展開するなど、トランスジェンダーの人権抑止や制限を主張してきた人物です。( 註5 ) 2023年10月25日付にて下された、最高裁による 性同一性障害特例法 ...