【声明】トランスフェミニズムを、語りつづけよう!
高井ゆと里さんの新連載「トランスフェミニズムはみんなのもの」(エトセトラブックス)が始まり(註1)、話題となっている矢先。SNS上では、この記事を問題視する人々からの否定的言辞、トランスジェンダー差別の声が、多数投稿されています。
トランスジェンダーが、自己の経験や思想を表現すること。特にトランスが、自身の言葉でフェミニズムを語り、それを実践しようとすることを許さず、そうした行為そのものを封じ込めてしまおうとする策動に対し、当会は断固として反対します。
高井ゆと里さんの連載は、始まったばかりです。それはまだ序論、プロローグの段階であり、そのほとんどは執筆の動機、個人の私的な心情を綴ったものと言ってよい内容です。
この後に展開される本論、高井ゆと里の「トランスフェミニズム」の中身について反対だ、異論があるというならばともかく、単に今後の構想を述べたに過ぎない段階のものに抗議の声を浴びせることは——それが人倫や社会の普遍的道徳に反くものだと言うならばいざ知らず——、表現の自由の行使というよりは、むしろその悪用と言うべき行為です。こうした言論の表明は、表現の自由を自ら毀損する行いではないでしょうか?
抗議の声をあげる者の中には、SRHR(Sexual
Reproductive Health and
Rights)を「女性の生殖機能をめぐる権利」と読み替え、「ラディカル・フェミニズム」の立場から、この記事について「女性の現実に対する重大な加害」と述べる勢力さえ、見受けられます。(註2)
フェミニズムを、このような偏狭な了見の下に封じ込め、自身の攻撃性を正当化するための道具に用いることに、怒りをもって抗議します。
単にトランス排除的な思想をまとっているというに止まらず、個人が心情を語ることすら許さない。ましてや、それを排撃しようという言論は、わたし達の最も基本的な自由を直接的に脅かすものです。
このような、トランスジェンダーの存在基盤そのものを切り崩そうとする策動を、わたし達は断じて容認しません。トランスジェンダーがフェミニズムを語ろうとすること自体を妨げようとする動きに対し、徹底的に抗います。
フェミニズムの力を信じる、全ての皆さん。
臆することなく、トランスフェミニズムについての語りを続けよう!
フェミニズムを、それを必要とするあらゆる人のもとへ!
註
註1
高井ゆと里「トランスフェミニズムはみんなのもの」第1回:連載のはじめに(エトセトラブックス、 2026年8月13日掲載。)
註2
劇団トレメンドスサーカス(Tremendous Circus)は2026年8月15日、自分たちのTwitterアカウントを通じて声明を発表した。また同文において、トレメンドスサーカスは特定個人を名指してミスジェンダリングをするという行為も行なっており、まったく言語道断である。オープンリー・トランスジェンダー個人に対する重大な人権侵害として、またトランスジェンダー一般に対する言論抑圧として、強く非難されるべきである。
”女性の物質的な被抑圧体験や恐怖を、「シス」という言葉で相対化し、透明化することは、女性の現実に対する重大な加害である。トランスジェンダー運動とフェミニズムの間に、橋渡しなどしないでほしい。女性の生殖機能をめぐる権利(SRHR)と、個人の性別移行の権利は、完全に別問題であり、「トランスフェミニズムはみんなのもの」というスローガンは結果的に、女性のための運動や、女性の安全空間の簒奪につながると考える。”
